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No.0008 パリから日帰り・ルーアンRouen

2011年1月の記録です。

12月のノエルの時期も終わり、2月のカルナヴァルや花のお祭りの前のフランスの1月はとても地味な月になります。でも日本からの航空券が安くなる12・1・2月初旬(年末年始除く)はコストのかかる欧州への旅行チャンス。

 

ということで、お正月のお仕事案件が終わってすぐ、パリに出発しました。

No.0004パリから日帰り・シャルトル大聖堂

に続いて、パリから行ける日帰りシリーズその2です。

 

ジャンヌ・ダルクが火刑に処された、ノルマンディー地方の首府ルーアン。

■パリ、サン・ラザール駅から1時間ほどのルーアンへ

雲が低く暗いパリの朝。雨も降りそうで、今日はどこか別の場所へ行ってみようかなという気持ちになりました。大体、どこへ行くかはその日起きて朝食を食べながら考えることが多いのですが、クロワッサンをかじりながら思いついたのがルーアン。朝9時すぎ、パリのサン・ラザール駅に向かいました。

 

サン・ラザール駅はフランス北西部、ノルマンディー地方への列車が発着する駅で、TGVは走っていないものの駅内に大きなショッピングモールがあるので早めに到着しても、日帰りの帰りがけにも色々お買い物ができて便利です。

 

私は有人チケット売り場の長い列に並びたくないので自動券売機で切符は購入します。行きは9:30頃出発、11:00前に到着、帰りは夕方17:00頃現地発の切符にしました。いつものことですが、同じ車両には数人しか乗客がおらず、旅気分というより「寝過ごさないようにしなくては!」と思いました。日本人は電車で寝るのがすごい(治安的に)と言われていますが、フランスは割と長距離列車ではけっこう無防備に眠っている人が多いです。ただもちろん、小柄で弱そうな日本女性は気をつけましょう。

 

ノルマンディー地方は、フランス全体からみて裕福というか品があるところです。

パリのぐちゃぐちゃ感やマルセイユのめちゃくちゃ感からすると、なんとも民度が高い印象。やはり、グレートなブリテン文化が入っているからでしょうか、列車の乗客にもそれが表れていて、落ち着いて過ごせる列車の1時間でした。

 

雨が降ったり上がったりしながらの車窓を見ながら、ルーアン・リヴ・ドロワット駅に到着。

リヴ・ドロワット"rive droite"というのは「右岸」の意味です。ちなみに左岸はリヴ・ゴーシュ"rive gauche"。

■ルーアン(Rouen)旧市街

SNCF(フランス国鉄)Rouen Rive Droite 駅から旧市街へは正面に伸びる大通りをひたすらまっすぐ1kmほど歩くだけです。通り沿いにはお土産店、カフェ、花屋さんなど様々なお店が並んでいて、あまりゆっくり見すぎても旧市街での時間がなくなるので行きはほどほどに。中でもこの通り沿いにある古本屋さんがとても良かったです。お店の一番奥には、古地図や古い使用済みポストカードなどもあって、パリのブロカント市の砂やほこりをかぶったようなものとは違い、状態が良いものばかりで結構たくさん買い込みました。私はフランスの古い使用済みポストカードのコレクターで、デザイン重視で数百枚コレクションしています。

 

さて、まずは旧市街の中心に行ってみることに。

「大時計通り」はルーアン大聖堂とともにこの街のシンボルです。

私が住んでいたAix-en-Provenceもそうですが、大きな大学があるため街には若い人がとても多いです。服装も皆シックで定番ものをさらりと着ていて私は日本よりこちらの方が落ち着きます。日本の現在の大学生はファッションが中学生みたいで、「それが流行り」と言われればおしまいですが、ベージュやネイビーのコートやセーターのフランスの学生の方が千倍素敵に思えます。

 

上の写真の時計塔は14世紀に建造され、1410年にこの大時計が取り付けられたとのこと。文字盤の下の窓のような部分に神話の神様が表示され、これで曜日がわかる仕組みです。

 

月曜:ディアナ

火曜:マルス

水曜:メルクリウス

木曜:ユピテル

金曜:ヴィーナス

土曜:サトゥルヌス

日曜:アポロ

 

ちなみにフランスやイタリアなどラテンヨーロッパは曜日は月曜始まりです。

旧市街にあるお店はいずれも年季が入った雰囲気です。雨に濡れた石畳、繊細で美しい大きな大聖堂、扱う商品は古いものやしっかりしたもの、こんな街で生まれ育ったら何もしなくても美的感覚が育つでしょうね。フランスやイタリアの良いところは、「使い捨て」を価値観とするお店がほとんど無いこと。日本の経済は人口の多さで消費を繰り返し続ける中で出来上がったもののように見えますが、もうそろそろこの感覚をシフトしていく時ではないでしょうか。

 

青いファサードのお店は「ルーアン焼き」のお店です。

お好み焼きとは違います、もちろん陶器です。

 

16世紀ごろ、ヨーロッパではイタリアのマヨルカ焼き(No.0005のアマルフィタイルの記事参照)が流行り、ここルーアンではフランス陶器業界の先駆者が登場、名だたる王族たちの愛用品になっていたそうです。ところでヨーロッパ各地で、1枚2枚とほんの少しづつ思い出の陶器を買う私の食器棚は全部バラバラ、挙げ句の果ては子供の時から使っている仕切りつきのプラスチックのお皿でチャチャッと食事を終わらせる毎日。つくづくテーブルウェアというものは時間や気持ちのゆとりが必要だと実感します。

ルーアン・ノートルダム大聖堂は優美で高くて、周辺の広場から全景を撮影することができませんでした。私のカメラレンズがあまりワイドではないからなのですが、通りの間から見える尖閣というのも好きな光景です。大聖堂の内部の写真が見当たらないのですが、日曜日でお休みだったように思います。モネがこの大聖堂のファサードを執拗に描き続けたことで有名ですね。執拗っていうか、愛していた、というべきでしょうね。

 

晴れだとまた印象は異なるでしょうが、石と木組みのバランスが重厚で、ペンキもダークな色合いでかっこいい街です。窓から漏れる灯りが映えます。

木組みの建物はノルマンディーだけでなくフランス東部アルザス地方でも、そして南西部のフランスバスク地方にも同じようなデザインが見られます。小さなガラスを組み合わせた窓はアルザス地方にも数多くありますが、童話で見た世界そのものでどこを切り取っても絵になります。

1881年開店のパン屋さん。

パン屋さんでは、店員さんにどれがいくつ欲しいと伝えなくてはなりませんので、ここでアホの一つ覚えを伝授しておきます。

 

「ドネモワ・ユヌ・バゲット」

バゲットを1本ください。

 

「アン・レストロン・シルヴプレ」

(バゲットより一回り太いパン)レストロンを1本ください。

 

これでフランス生活は半分できたようなものです。

それほど、パンを買う機会が多いということです。もちろんスーパーでは言葉を交わさずにバゲットを買うことができますが、おいしさの格差がありすぎてスーパーで買ったパンを食べるのは機会の喪失です。

 

花屋さんの屋台的店舗も街角の光景にぴったり合うような作りになっています。1月の寒い中にも綺麗な色の花がたくさん売られていて、この季節は特にチューリップが可愛くディスプレイされていましたよ。

■パリから日帰りにとてもオススメです!

ルーアンのことを何も調べずに訪れてこの日この街で一体何を食べたのか思い出せません。ノルマンディー名物カマンベールチーズを使った料理もあるんでしょうか、ちょっと情報不足ですみません。レストラン街もありましたし、カフェも多く、食事には困らないと思います。それにしても、何を私は食べたんだろうか...

 

チーズはトスカーナの山羊のチーズ(味があまりなくて、乾燥気味)やナポリのモッツアレラ、それからパルミジャーノなどイタリアものが好きなのであまりカマンベールには興味が湧かなかったのかもしれないなーと思います。

 

パリへ戻る列車も順調に進み、また喧騒の花の都へ。

 

観光は1日で充分でしたが、留学したり住んだりするならパリより絶対こっちがいいです。こういう街は友達がたくさんできると思います。


text&illustration : maki

フランス留学、雑誌・旅行・航空会社を経て企画制作会社設立。2013年より東京・三軒茶屋にて雑貨&デザインアトリエをオープン。