· 

No.0001 Route de la Lavende ラベンダー街道


毎年7月中旬には、南フランス・プロヴァンスのラベンダーが一斉に満開を迎えます。

現地の言葉ではlavende(ラヴァンド)と発音します。

ひまわりほどに見頃が長くはなく、というのも観光させるための観光農園や種を取るのがメインの目的ではないため、香りが良いうちにどんどん刈り取られていくのです。のんびり構えているとあっという間になくなっちゃいますよ。

 

私も数度夏のその時期に滞在してたった一度だけ、ジャストタイミングで訪れたことがありました。2008年7月の回想記です。

 

■パリの夏の香り

ところで気温も光の強さも打って変わって、夏の花の都パリ。

10代の頃初めて訪れた夏のパリで一番印象に残っていたのが、ラベンダーの香りでした。

花の蕾を乾燥させたポプリをカゴに盛ってシフォンのサシェに詰めてくれるおばさんたちが、ノートルダムの前や観光場所にいました。そこからなんとも言えない、甘い香りが漂ってくるのです。生のフレッシュな香りというよりは、砂糖を煮詰めたような甘い香りでした。さらに、エッフェル塔で買った、ゴールドの小さく細身のボールペンはペンの上にエッフェル塔のチャームが付いているおしゃれなもので、インクは濃い紫、そしてスミレの香りが付いているものでした。

 

「ラベンダーとスミレ」

 

私の初めてのパリの印象はこの二つだったのです。

農業生産物をとてもロマンチックに変身させるのはパリの得意技です。お菓子、雑貨、文房具。

ここから、私のプロヴァンスラベンダーやグラース、トゥールーズのスミレへの気持ちがスタートしたのでした。

■まずはSault(ソー)村へ行ってみよう

私が留学していたのは、プロヴァンスの首都、Aix-en-Provenceです。

そしてその数年後、当時よりも更に行動力と財力が増した状況(笑)で満開のラベンダーの村を訪れました。

Route de la Lavende いわゆるラベンダー街道は広大なプロヴァンス、コートダジュールの山側に広がっています。

どのエリアのルートに行くのかはこちらのような現地サイトを参照してくださいね。

Un itinéraire en 7 circuits 


マルセイユ空港でレンタカーを借り、そこからAix-en-Provenceに入り、更に内陸へ2時間ほどドライブです。世界で最も有名なプロヴァンス、リュベロン方面に向かいます。ピーター・メイル著「プロヴァンスの12ヶ月」ではイギリス人によるリュベロンでの生活における観察と感想が優しく描かれていますが、本当にビルと交通網だけの都会しか知らない人なんだなあと以前読んだ時に思いました。

 

D943からD113に入り、まずは、そのエリアでの最初の街Apt(アプト)へ。途中、ルールマランという、ドイツやフランスのロワールとは全く異なる中世のお城もあります。1本道をアップダウンして、突然クルマの量が増えてきたと思ったら、いよいよAptの街です。

Aptでは毎週土曜日街全体を使ってマルシェが開かれており、この日だけはうって変わったように賑やかになります。広い村の駐車場も土曜日は満杯で大変です。これはまた別の記事で書かせていただきますが、はずせない、とても素敵なマルシェです。

 

そこから更に高度を上げ、ラベンダーの村として名高いSault(ソー)へ。

 

2008年公開の映画、「Mr.Bean カンヌで大迷惑?!」という作品に、ちょうどこの周辺のドライブルート(パラボラアンテナがたくさんあるあたり)が出てきますが、めちゃくちゃなロードムービー風でとても面白いですね。「ミスター・ビーンの映画を観に行く」という感覚がいまいちよくわかっていなかった当時、ちょうど行きのAir France機内で日本公開前のこの映画を観て笑ってしまいました。

 

さてSaultの村は本当に小さくて、数店カフェ、レストラン、ホテル、パン屋、雑貨店があるぐらいです。周辺から更に丘の上に作られた街なので、周辺のラベンダー畑が一望できます。そして、シーズン中にはラベンダー専門ショップがオープンして、ここの商品が素晴らしいのです。

■ラベンダーの精油

プロヴァンスに来たら、朝の広場でやっているマルシェやラベンダー関連の商品を置いているお店などに色々出くわしますが、どれも質は良いのでぜひ大容量の精油を購入することをおすすめします!これだけは、日本に帰国して後悔することになるのでもう一度言います。

 

大容量の精油をぜひ購入してください!(笑)

 

私もこの時200ccしか買わなくて後悔しました。最低2リットルは買うべきでした。Saultに季節限定でできていたラベンダーショップの精油は素晴らしい香りと質でしたぁあああ!

日本に戻ってみると、この甘く濃い香りの精油が全然見つからない!

プロヴァンス産の真性ラベンダー精油は日本では高価ですが、現地で買うと、びっくりするほどお手頃です。

 

2リットルも買って何に使うのか、ですが、何にでも使えるのがラベンダーの良いところです。

 

・お風呂の浴槽に、数敵垂らして入浴する

・手持ちのシャンプーなどに数敵加えてみる

・お部屋のフレグランスに(精油ランプやウォーマーなど)

・火傷した時に直塗り(ラベンダーは肌への直塗りが可能な精油です)

・マッサージオイルやバームなどを自作

 

いくらでも使用方法がありますし、自律神経が狂いがちな季節の変わり目などにこのような使い方をすると特にラベンダーの素晴らしさを実感します。

■ラベンダーの花言葉

「期待」「沈黙」「私に答えてください」「不信感」「疑惑」

 

ラベンダーの持つ薬効に期待と不安を持つような気持ちがとても現れているようです。人が医者や医療に思う気持ちに似ていませんか?

 

この旅は2008年7月のことでしたが、この時にSaultのラベンダー売店で買った濃い紫の蕾がたくさんついた花束は今も私のお店のディスプレイにしています。ラベンダーの香りは10年続くと言われていますが、本当にまだまだ良い香りがしていますよ。北海道・富良野の品種「おかむらさき」も1990年のフランスの精油品評会で1位を獲ったそうです。これはすごいですね。

■Saultからセナンク修道院へ

プロヴァンスは標高は高いものの、全体が丘の連続といった雰囲気で、険しい山ではありません。

山の側面の狭い一本道は自転車ロードレーサーたちもたくさん走っていて、クルマは彼らの安全を大切にしながら走ることがルールでありマナーとなっています。そしてふと、左側に沈む谷を見下ろすと「セナンク修道院」が見えて来ます。

 

「プロヴァンス三姉妹」と呼ばれるカトリック・シトー派の3つの教会はシンプルな作り、簡素、農業での自給自足とそれらの加工のみで生計を立てていたという「清貧」がモットーの宗派です。セナンクはその中で一番大きく、ラベンダーの畑が教会のシルエットに重なってとても美しい場所です。以前、内部を拝観しましたが、薄いグレーやブラウンの石でひたすら素朴に、 ステンドグラスもカラフルではなく無色、それが明るい光を通してとても清潔な空間に思えて私はとても好きでした。でも、清貧にもほどがありすぎてこの宗派は衰退したとのこと。今は別の教会から新たな修道士コミュニティが入り、またそういった地道な活動でこの教会を維持しているそうです。

 

この写真を撮影した時点で18時を回っており、教会はすでにクローズしていたため、近くにクルマを停めてラベンダー畑を見させていただきました。この時は柵などはなく、ラベンダー畑の一番手前から、向こうに見える修道院を眺めました。

■一度は行くべきラベンダー街道

プロヴァンスのこの辺りは日本人でもとても運転しやすいエリアです。

普段運転している人なら問題なく目的地にたどり着けますし、高速道路も使いやすいですよ。人と自転車とあらゆるクルマが混在する日本の都市部に比べたら、自分のペースで運転できますし、とても標識がわかりやすいです。

 

7月中旬に南フランスに滞在する予定があれば、ぜひラベンダー街道を!

2月のミモザ街道は、バスなどに乗っての移動中や、街のそこら中で見ることができますが、ラベンダーの絨毯はこのエリア限定です。

 

そしてクルマならなおさら、精油は2リットルぐらい(笑)いっときましょう。

 

大満足で、マルセイユからの1日ラベンダーの聖地訪問。

このあと、まだまだ22時すぎまで陽が暮れないので景色を楽しみながらアプトの隣町のセニョンにある超素敵なホテルに宿泊して併設のミシュラン店でフォアグラを食べたりロゼワインを堪能して最高のバカンスになりました。1フランでも節約して完全自炊ですごしていた留学生時代よりも、行動力と財力がアップできていて良かったです。進歩は大切ですね。

■関連リンク


text&photo : maki

フランス留学、雑誌・旅行・航空会社を経て企画制作会社設立。2013年より東京・三軒茶屋にて雑貨&デザインアトリエをオープン。